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2017年4月30日(日) 山林調査 in荒巻山林

天候:曇りのち雨  参加:9名

朝9:00。 札幌市南区。
八剣山のよく見えるところが今日の待ち合わせ場所です。
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今日の活動フィールドはここではなく、さらに車で南へと移動します。
残雪のある林道を進んで、「荒巻山林」に到着です。

「健全な森の育成」にたずさわる私たちの活動のひとつに、山林調査があります。

なぜ、調査するのか。
健全な森をはぐくむためには、今この森がどんな状態にあるのかを知ることが第一歩だからです。
この山はどのくらいの広さで、ここに生える木は、何歳で、何本生えていて、どんな種類があって、
1本ずつの健康度(材質の良し悪し)はどうで、10年~100年後にはどれくらい育っていて(育てて)、
どういった樹種遷移がおこなわれるのかをシミュレートできるようにすることが大切です。

どんな森にしたいか(なってほしいか)は、これをもとに語りはじめることになります。

では、実際に山林調査とは何をおこなったのか。

・林況踏査 ・・・ 現地の上空から撮影された衛星写真を見ながら、実際に歩いて森に入っていく。
           よく見て眺め、「標準地」(*のちに説明)をどこに設定するかを決定する。
           国有林など所有者を異にする隣接箇所では、接触・越境のないよう厳重注意の上決定する。

・標準地調査・・・ 決定した場所に30m×33mの正方形の区画を設定する。(=これが標準地
          ※山の中で真四角!を測定するのは重労働。 要・やる気,体力,テクニック。そして、やる気。
           しっかり正確に四隅を確定!

この標準地内にある立木1本ずつを測定する。
・測るべく立木には、番号のふられたナンバーテープを1本ずつに取り付けていく。
・測る項目は、直径(径級。6cm以上から),樹高,樹種,品位(木の健康度・品質)。

※この標準地での測定値をベースに、調査山林の「全体像」を算出・把握する。
そのため、木々が密集または過疎の場所での標準地の設定は避ける必要がある。

使用した道具=輪尺,測量コンパス,m縄,Noテープ,ガンタッカー,針,標識テープ,木材チョーク,野帳,鉛筆など。
山の広さ(所有山林の面積)は、林地台帳により把握する。
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荒巻山林での調査活動は、すでに昨年から始められていました。

前回調査(2016年4月)では、山林の前部(人工林ゾーン=アカエゾマツ)の毎木調査を完了しています。
(毎木調査=生えている木々すべての本数・径級・樹高・樹種・品位を調査すること)
※台帳面積:0.68ha(実面積0.57ha) 総本数758本(うちアカエゾ740本、※haあたり1,298本)
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※注)なお、“山林調査”の過去実績としては、小樽市桂岡の「ワオーの森(高川山林)」においてこれよりさらに広範囲に、
ゾーン分けして調査実施済みであることも、ここに付け加えて記述しておきます。

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■本日は、荒巻山林のバックカントリー(天然林ゾーン=広葉樹2次林)の調査です。

話しは現地到着に戻りまして。

入り口には、大きな池があります。
エゾアカガエル? エゾサンショウウオ? が、できるだけたくさんの子孫を残そうと卵を産んでいます。
(エゾアカガエルかと思いましたが、よく見ると卵塊がチューブ状なので、エゾサンショウウオだろうと思います)
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池のほとりには、なぜか一株のクロッカスが咲いていました。
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さて、まずは林況踏査です。
全員で山に分け入ります。

衛星写真を見ながら、この山の全体と、自分たちの現在地を確認します。
衛星写真では、樹冠の混みあっている部分や、逆に、隙間のある部分を
確認することができます。
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標高トップを目指してルートを確認します。
沢づたいに登っていくことになりました。
雪どけ水が沢を流れます。ミズバショウ、フクジュソウが見られます。
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なかなかの勾配で、ハイキング気分とはいきません。
斜面を巻きながら標高トップを目指します。いざ。
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軽く息を切らしつつ、標高トップの地点に到着しました。
見上げるほど立派なトドマツが立っていました。
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しばし、周囲を眺望。
あわせて本日の作業でもある「標準地」の候補地点を探します。
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木々の混み具合のバランスがよいところを標準地と決めました。

標準地の設定は、30m×33mの正方形を描くようにスタート地点からはじまり、一辺を引いたら、
その次に90°の角度で二辺目、さらに三辺目、最終的には四隅の位置で、正確に印を付けます。
山中の起伏の中で、真四角を描くことの難しさったら・・・。

まず、測量スタート地点の近くにある目立つ木に標識テープ(ピンクテープ)を二重に巻きます。
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このテープ二重巻きの木が、最終的には4本となるわけですが、
この4つの木の「内側」に、30×33mの正確な正方形を切り取るのです。
※実際の測量点(正方形の四つ角)は、同じピンクテープを一重だけ巻いた木の枝や
 ササを地面にしっかり突き刺して、設置します。

プロレスでいうところの、これから正確に測量して設定する正方形が「リング」であり、
このテープ二重巻きの4本の木というのは、そのリングのロープの外側に立っている
あの4本の鉄柱(コーナーポスト)ということであります。
プロレスに例えるとよけいに理解しずらいことが分かります。

測量コンパスを用意します。三脚は山での作業では荷物となってしまうため現地調達です。
ホオノキを利用した1本脚です。
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                               絵になる。Tさん。

計測スタート地点(測りたい正方形のまず1角目)から、m縄(めーとる・なわ)を引きながら
最初の一辺30m(その次の二辺目は33m)を測るべく、クマイザサの中を突き進みます。
ズレてはいけません。へこたれてもいけません。ひたすら引っ張って進みます。
この担当を、先山(さきやま)と呼ぶようです。
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がさがさとササをかき分け、先山が30m(または33m)を進んだところで、停止指示をかける計測担当者は、
「はい!も-ちょい! あ!行き過ぎぃ! ちょい戻り! ちょい左! はい!オッケー!」と忙しい。
山の仕事は声が大きく通らないといけません。
二辺目は、一辺目のゴール地点から90°の角度を正確に測ってスタートしていきます。
各地点にはピンクテープ巻きの木の枝が地面に刺し込まれていきます。

やがて、標準地(正方形)の設置が完了しました。 かなりの仕事量で汗だくです。

さて、続いての作業です。
30m×33mの標準地の中(正方形の内側)にある木々すべてに、ナンバーテープを付けていきます。
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付けられたナンバー(番号)を読み上げながら、その木の直径(径級)を輪尺(りんじゃく)で測っていきます。
あわせて、樹種、品位(質)も読み上げ(叫び)ます。
それを、野帳に書き込んでいきます。 野帳への記入はまた別の担当が行います。
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この作業と同時に、樹高を計測していきます。この山は高いもので23mほど、15~17mのものが多かったです。
旧式の計測器での計測方法も勉強しましたが、作業効率の面から、デジタルコンパスを使用しました。

これらの作業により、まずは天然林ゾーン=広葉樹2次林での標準地設置、調査1回目は終了しました。
5年後に再度おなじ調査を入れることで、森の移り変わりを確認できることとなります。
本日の調査結果は、持ち帰って集計・解析されます。
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昼になりました。風が強くなり、雨も落ちてきそうです。
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食事をとり、午後も少しの作業をおこなって、本日の作業は終了です。

なお、この山林調査作業においては、スタート時より当会会員Kさんからの技術指導に依るところが大きく、
あらためて感謝いたします。調査の技法・考え方を惜しみなく伝授していただいております。
さらには、森林インストラクターでもあるKさんによる“樹種の見分け方”は、感嘆の声を抑えることが出来ぬ
分かりやすい解説が常にあり、私たちにとってはかけがえのない財産となっていきます。

この荒巻山林は、今年中に追加調査を予定しています。
また、人工林ゾーン=アカエゾマツの枝打ち作業も継続して行います。
もっともっと心地よい森になるでしょう。

みなさんも森づくりに参加しませんか?
いつでもお待ちしております。 (森井 浩樹)



by woodies | 2017-05-04 16:17 | 活動記録  

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