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平成27年2月21日(土) 第3回山林調査(山林施業計画策定)ワーキンググループ

今回は前回の勉強会の続きを行いました。
テーマは森林の資源量の指標となる材積の求め方でした。

材積というのは要するに幹の体積のことであり、樹木の幹を円柱に見立てて計算される。
森林資源の中で最も量の多い木材の量を示す指標になる。
また、林分全体の材積は、気候変動などで二酸化炭素の削減が求められている現在において、その林分がどのくらい大気中の二酸化炭素を吸収するかを示す指標となる。

この材積の測り方は、丸太にして測る方法と立木(りゅうぼく)から直接測る方法の2種類に分けられます。丸太の材積は、幹全体を細かい円柱体に分けて、区分求積法の要領で体積を求めていくのが基本となります。丸太をその中央を通るように縦断し、そうしてできた断面の輪郭曲線を関数に見立てて、その回転体の体積を材積とするという考え方に基づいているようです。立木から材積を求める方法も、丸太から求める方法がベースになっているようです。
しかしながら、立木で一本一本そういうことをすると時間が足りないですし、10数メートルもある樹木の場合、切り倒さずに上部の直径を測るのは至難の業である。そのため、直径と樹高を測ってそのデータを調査に基づきあらかじめ制作されている表に埋め込んで材積を算出するという方法を取ります。

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小屋の外に出て、実際に樹木の計測をするという実習も行いました。晴れていてよかったです。
立木の直径は、地際から1.3mの高さの直径を測ると実務上決められているようです。そのため、DBH(胸高直径)と呼ばれている。立木は方位によって成長の仕方が異なるため、断面を楕円形だと仮定して、縦横の直径の平均をDBHとすることや、斜面では斜面の上側から輪尺を当てること、樹病や外傷、枝分かれにより胸高では円柱としての樹幹の直径を測れない場合の対処法などを教えていただきました。

DBHを測るために使う輪尺のつかい方も事前に学んだ。輪尺は大きなノギスのような道具で、可動部分は頻繁にガタが発生するので、調節ねじを回してガタがないように調節しなければならないみたいです。森林の計測はアバウトにせざるを得ないところが多いので、せめてコントロールできる誤差はなるべくなくしていこうということなのでしょう。

樹高はサイン、コサイン、タンジェント等の三角関数の原理を用いて求めます。言い換えると、測点から対象木までの距離と測点から対象木の頂点を見上げた時からの仰角から樹高を計算して出します。「三角関数なんて久しぶりだよお」と頭を抱えている人もいましたが、斜距離と仰角から水平距離を読み取る表や、同様にして水平距離と仰角から高さを読み取るための表が既製品としてあるみたいです。計算が苦手な人でも安心ですね。

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実際にDBHを測ってみると、胸高の位置が枝の痕などで膨らんでいるものや二股になっているものも多く見られました。いい勉強になりました。樹高を測る際、仰角は測量で使うポケットコンパスを用いて測りました。水平を保たなければならないので、ぐらつかないようにするのが大変でした。また、高い木の仰角を近いところから図ろうとすると、レンズをのぞきこめなくなったりしました。仰角が大きくなればなるほど、1°ずれた時の誤差も大きくなるので、距離を考えることも大事だなと思いました。対象木からの距離が一定であれば、根元と木の頂上を見た時からの仰角の差から樹高を一発で出せるブルメライスなど、ほかの測器もいろいろと紹介されました。

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DBHと樹高を測った後は、小屋に戻り、得たデータから材積を算出しました。
立木の材積は、上述のように樹高とDBHを用いて、調査により作成されている表から対応する材積を読み取りました。立木材積を出すためのデータは、広葉樹は「広葉樹」で一括りにされるものの、各樹種各地域ごとに作成されているようです。前回の勉強会でもあったように、地域ごとに気候や立地条件によって樹木の成長は同樹種であっても異なってくるからです。
また、林分から一部分を取り上げて、林分全体の材積を算出しようとする「標準地法」についても説明をいただき、木の多いころや少ないところなど、変化に富む場合、各場所ごとで取り上げる場所を選ぶことや、材積の算出値が大きく出る場所の取り上げ方をしてしまいがちであることなど、注意点についても説明をいただきました。

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今回の勉強会で、林分の調査において注意すべき点を体系的に学ぶことができました。
参加者の中には、「作業方法だけ学んでもしかたない。バックグラウンドを学べてよかった」と言っている人もいました。「歴史に残る大聖堂を作ることに貢献している」という意識をもつレンガ職人はいい仕事をするという話がありますが、今回の勉強会で、そのような「レンガ職人」を増やすことができたと私は思いました。

また、私自身も調査手法の再勉強のみならず、スマートな森林調査を学べました。広い森林で調査をしていくうえで、一本一本立木を調べていたら時間が足りなくなる。実務的にはある程度粗くてもいいという考え方なのか、樹高は1メートル刻みではかり、隣接する樹木は測った樹木と比較して「1m低い」みたいにして目測で測ったりする。また、統計的に信頼できるくらい数の樹木を計測して、樹高と胸高直径の関係を近似直線で表す方法もあります。自分は何でも厳密に見ようとする性格なので、いい意味で手を抜くやり方を学べた気がしました。

学生生活の終盤で、こういう機会に巡り合えて、私は幸せです。Kさんありがとうございます。そして、もうしばらく教授お願いいたします。

(文:北原 写真:笠倉)


by woodies | 2015-03-01 12:34 | 非公式活動  

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