平成27年10月3日(土) 第9回山林調査(山林施業計画策定)ワーキンググループ
本日は、前日までの天気予報を覆して調査日和となり、参加人数は5名と少ないものの、久しぶりにWG参加の若手会員のK原さん2人を交え調査に臨みました。
今回のメインは、No4標準地の調査ですが、前回No3で調査し忘れた価値区分の判定があり、まずはその再調査に向かうこととします。まぁ、No3は小屋からそんなに離れていないところに設定していたのが幸いでしたネ。 ^^;
ここで価値区分について、何だろう?と思われた方もいるかと思いますので、簡単に説明します。価値区分とは、おおざっぱにいうと木の健全度で、施業の際に選木基準として参考にするほか、森林の活力を判断する際の指標として用いることを目的としています。
ウッディーズWGでは、今季から調査を行うにあたり、独自に3段階の基準を設け標準地内のすべての木に対して判定することとしました。
- 価値区分
- 1 優良木:樹冠がしっかりしている、着葉量が多い、成長旺盛、形質が良いなどの特徴を概ね併せもつもの。
- 2 普通木:価値区分1と3との中間にあり、簡単に判断しにくいもの。
- 3 不良木:着葉量少ない、樹冠の著しい偏奇や過小なもの、暴れ木、成長衰退木、病虫菌害木など、今後の成長の見込みがない、あるいは他の健全木の成長を妨げるもの。
これらについて目視により判定するわけですが、個人の主観を排し行うことはなかなか難しいものです。No3でも「いやこれは1だ」とか、「いや腐れがあって1とは言えない」だとか、ディスカッションにも熱が入ります。そして1本ずつ進めていくわけですが、そのうち「あれ?この木Noテープついていない ※調査漏れ」「樹種が違う」など、前回調査のボロが文字通りぼろぼろと出てきました(汗)。
ある意味、No3には再調査に来て正解だったということになります。早速、間違っているものは正しく修正、追加調査を行います。(これで安心フゥ)チェックが全て終わり、晴れてNo3終了ということになり、いったん小屋に戻り体勢を整え、No4カラマツ標準地の設定へと向かいました。カラマツ林分は、森林調査簿記載の面積にして0.16haと狭小の人工林ですが、林齢60年超とそれなりのサイズで、TG山林唯一の人工林ということもあり、広葉樹がメインの景観に変化を与えています。また、落葉きのこなどの恵みも与えてくれています。
設定に先立ち、まず配水施設の上手あたりから林分をながめ、20m*20mの区画が林分からはみ出ないように原点の位置決めを行いました。ちなみに、No4は林分が狭いこともあり、0.04haと標準地のサイズを小さくしています。(No1~3は30m*33mの0.1ha)久しぶりのメンバーと、常連メンバーでそれぞれチームに分かれ作業開始です。チームの中では、今まで自分のやったことのない作業を率先して皆さん選んでおり、殊勝な心がけだなぁと感心しました。(いやホントにw)幸い、日当たりのいいカラマツ林にはつきもののスズメバチの巣もなく、また面積も小さいことから昼前に一通りの調査は終了しました。
昼食後、IDさんは所用のため帰宅、残りのメンバーでNo4内のカラマツについて間伐の伐採予選を行ってみることにしました。2月に私が踏査した時には、優劣のついた林分で本数も多いように感じていたのですが、今回調査してみると実は枯損木が多く、立木密度はそれほど高くないことがわかりました。そのため、メンバーで相談し、とりあえず成長衰退木で枯死しかかっているもの、また中上層の競合木について選木してみることとしました。(青スプレー表示)
標準地内の現況と伐採予選については、標準地調査表として別表にまとめてみましたのでご覧ください。
※伐採予選の結果、材積伐採率で約16%となった。(選木段階では伐倒支障木は考慮していない。カラマツで1~2本発生?)また、今回の調査結果をもとに間伐を行う際の指標となる、形状比※1や相対幹距比※2について求め、その結果と現地状況を併せ今後のシミュレーションをしてみました。
まず、形状比や相対幹距については緊急に間伐を要する状態ではありませんでした。次に現地の状況ですが、この林分は植栽後60年以上が経過していますが、全体的に成長が衰退気味で、樹冠の極端に小さなものや枯死寸前木も見受けられます。
このことから、現時点では、今後成長の見込みがない樹冠の小さな木および他の優良木と競合しているものについて、生きているうちに優先的に伐採・除去し、材の利用を図り、その後、更新を伴った伐採、更新方法の検討をしていくといいのではないかと思います。以上ですが、専門的な部分については、いずれWGで勉強会を設け、その際に再度皆さんと検討したいと思います。
森林調査WGの活動については、現地調査は残すところ標準地2か所となりました。雪が降る頃までにはなんとか終わらせたいとの意向(by事務局長)です^^;次回もたくさんの方の参加をお待ちしています。
※1 形状比とは・・・平均直径に対する平均樹高の比。一般に100より大きいと風雪害を受けやすくなるとされる。
※2 相対幹距比とは・・・平均樹高に対する平均樹間距離の百分率。間伐の指標として用いられる。本数が密な森林ほど小さい値になる。人工林は20%前後が適切とされる。15%以下は要間伐.
文:笠倉 写真:桑原
by woodies | 2015-10-03 23:04 | 活動記録