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2016年5月7日(土)ワオーの森 森開き 2016

天気 雨のち晴れ
活動概要 整備事業完工式、樹名板取付、自然観察
参加者 札幌ウッディーズ 16名
 北海道ボランティアレンジャー協議会 6名
 一般参加者 40名
 幼児・児童 30名

 天気予報では「午前中は雨」で雨天を危惧したところ、次第に晴れてさわやかな森開き。大人だけで60名を超える参加数に、保育園児に児童も加え総数は百名にも届きそうな盛会ぶり。小樽市桂岡の「ワオーの森」に、間伐ボランティア 札幌ウッディーズ(以下ウッディーズと表記)、かもめ保育園(小樽市銭函)、それに北海道ボランティア・レンジャー協議会(ボラレン)のメンバーが加わって、にぎやかに森開きが始まるのだ。
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 午前9時30分、本日の進行役・ウッディーズ太田副会長の自己紹介と挨拶、続いて山主の高川勝さんから「ワオーの森について」と題して、今日に至る経過が話された。

「二十年ほど前、保育園を建てる目的で裁判所の公売物件からこの地を見つけたのですが、裁判所からは、『ここに保育園を建てるって!』 と驚かれました。競売ではぎりぎりで競り落としたのですが、図面を書き建築確認申請を出す段階になり、やっぱりこの地への保育園建設は無理、と判断せざるを得なかった曰く付きの土地です。当初は足を踏み入れることの出来ない鬱蒼とした森でしたが、十四・五年前からウッディーズが施業に入り、三年前から本格的に整備を始め、笹刈り・遊歩道の設置など手入れをしていただき、その結果として明るい森が出来上がりました。ウッディーズのモデル的な山になったと思います。一応の区切りとして、地域の多くの方々に足を踏み入れていただき易いように、案内板を取り付けました。この森を通じて自然の豊かさや魅力を感じ取っていただき、あわせて人のつながりが出来るよう望んでいます。今日はボラレンの皆さんのご支援のもと、自然観察を楽しんでいただくことになっています。子ども達は歌を歌って「除幕式」をしたら、「樹名板」をつけに出かけてもらいます。今日を契機に新たな飛躍点として親しまれる森造りをしていきたいと願って、お礼の言葉に代えさせていただきます。」
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 太田副会長から、「補足させていただきます。平成25年から三年間コンサベーション・アライアンスからのご支援をいただいています。企業収益の一部を消費者に還元する。それは、商品が売れるのはこういったフィールドがあるからだ、ということです。我々の活動もこうした助成をいただいてはじめて可能となりました。」と財政的な裏付けについてのお話。

 次はかもめ保育園園長・藤原名美子さんからの謝辞。「かもめがいつも使わせていただいているこのワオーの森は、子どもたちが心も体もたくましく育つ上で欠かせないところです。3歳児から年長児まで遊ばせてもらっています。ウッディーズの方々のおかげです。今後ともよろしくお願いします。」

 いよいよ案内板の除幕式、ここでかもめ保育園の小島保育士にバトンタッチ。「年長の皆さん、みんなが紐を引く時…」「写真を撮る関係で、まだまだ…」「まだ、いいかな?」
「いっせいのーで!」除幕。 「すばらしい!」の喚声が上がり、園児からは「アオバトだ!」の声。
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 ここで案内板作製について山主から補足説明がありました。
「この案内板は、全体のデザイン、掲示内容のレイアウト、そして、施工、全ての工程をウッディーズ・メンバーのプロがやってくれたものです。十数年前から使い続けてきた木彫の古い看板もここに貼り付けましたが、これはかもめ保育園理事長の町田さんと、今回、掲示物をレイアウトした宮田さんの共同制作によるものです。新たなところを得て、良い味を出していると思います。」

 そして「ワオーの森・案内板」の完成を祝って、かもめ保育園園児と保育士の「ワオーの森のうた」の合唱。今日の披露のため練習した歌だという。

 ♪ ワオーの森は おもしろい 木の枝ブランコ トランポリン
   ロープ渡りもドキドキだ 高い木だってへっちゃらさ 
   こんにちは アオバトさん こんにちは クマゲラさん
   上って下って さあ進もう (2番 略)
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 最後に園児・小学生の本日の役割は、樹名板の取り付けだ。準備が出来たら遊歩道を上って、樹木に取り付ける。
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 残った大人達には、ボラレン派遣の6名の方々が「自然観察会」を開いてくれる。先ずはボラレンの春日順雄会長のご挨拶。
「先ずは、子ども達の様子を褒めたい。アオバトさんという声が除幕の際に出ていました。いつも自然をいつくしんでいるからこそ、この言葉が出たのでしょう。かもめ保育園の教育の成果が窺えました。私もウッディーズに入っていて、今日で何回もここへ来たけれど、高川さんに「里山造りだね」というと「ああ、そうです」という声が返ってきました。自然は放っておくと襲って来るので、福島がいい例ですが、里山造りをしなければいけないと思います。今後もウッディーズ、かもめ保育園の皆さんによろしくお願いしたいと思います。今日ボラレンからは内山さん、熊野さん、吉田さん、宮津さん、藤田さんが参加してくれました。ボラレンも結成して30年目を迎えました。自然観察のお供にと『自然観察ハンドブックⅡ』を作りました。良かったらお買い求め下さい。一冊700円です。」

 その後、参加者を4班に分けボラレンのガイドに案内されて自然観察会が始まった。子ども達が樹名板を取り付けにワオーの森の北尾根を上ったので、自然観察会は南尾根に回った。私が参加した班のガイドは内山さんで、10名がその後に従う。本日配付されたパンフレットを参考に、森の植物や野鳥、樹木について丁寧な説明をしていただいた。
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 取り上げられた植物名は以下の通り。キクザキイチゲ、エゾエンゴサク、ニリンソウ、エンレイソウ。これらの花々は笹刈りをした後、春に芽を出し数年をかけてようやく花が咲く。それで「スプリング・エフェメラル」と称される。春になり眠っていた種が芽を出し、明るい日差しを浴びて花が咲き、葉を出すとまた枯れる。オオウバユリ、茎が出ているのは花が咲き、7~8年で開花、開花したらその株は終わり、球根が出来ると一年目で一枚葉、翌年二枚葉が出て、他の株と交配したりして増殖していく。
 エンレイソウはTrilliumが学名につくように、3枚の葉に3枚の萼(がく)で1枚の葉というものはない。
 ヒトリシズカは花のように見えるのは雄蕊(おしべ)で、花弁はない。雌蕊(めしべ)は花糸の基部にある。
 クルマバツクバネソウとツクバネソウ。アズキナ(別名ユキザサ)はアマドコロと葉は似ているが花が違う。クルマバソウは防虫剤が得られる。
 エゾトリカブトは葉も根も有毒、食用植物とお間違えなきよう。
 ナニワズはナツボウズとも言い、雪解けと共に一番に花が咲き、夏には落葉して秋に新芽を出す。それで光合成を行って春に花が咲く。このように植物によって生活サイクルが違うのは不思議。黄色い花は雄花で雌雄異株。別名オニシバリ(樹皮が堅く鬼を縛っても切れない)赤い実がなる。
 シラネアオイ、笹刈りをした後に出ることが多く、日光の白根山で見つかったことから命名された。花びらのように見えるのは萼片。種子で増える。
 ギョウジャニンニク、イヌサフランとの誤認に注意。茎の根元が紅色で臭いが強い。小さいのは1年目で、大きくなるまでに年数を要する。
 オオハナウド(セリ科)、他にマイヅルソウ、ネコノメソウ、コウライテンナンショウ、ヨブスマソウを目にした。

 次に樹木、タランボ(ウコギ科、タラノキ)、イタヤカエデの花は緑黄色、ツタウルシの葉は3出複葉、かぶれるので触らないこと。どんぐりの芽はどこから出るか?
 ヒメアオキ(ミズキ科、アオキ属)常緑で茎が濃い緑色、2mにもなるアオキの小低木種、この辺りが北限。
 ハクウンボク(エゴノキ科、エゴノキ属)ハビロともいう広卵形のの葉を持つ落葉樹、花は白色で5~6月に開花、白雲木。
 ハウチワカエデ(カエデ科)赤い色の花が咲き、春の紅葉をもたらす。
 ニガキ(ニガキ科)樹皮がつるつる、苦木とも書き、「太田胃酸」にも使われる。
 ニセアカシヤ(マメ科)北アメリカ原産の落葉樹、生命力が強く種子が除雪で運搬されて、河床に繁茂している。最近悪者扱い。花香り良し。
 ミズナラ(ブナ科、コナラ属)堅果(どんぐり)は長楕円形~楕円形、長さ2~3cm。
 キハダ(ミカン科、キハダ属)別名しころ、内皮の黄柏を薬用にする(胃腸薬)。
 オヒョウ(ニレ科、ニレ属)樹皮はアツシ織の材料、葉の先が三裂し王冠状を呈する。
 ツリバナ(ニシキギ科)エリマキとも。果実は朱紅色で五裂、吊花。
 オニグルミ(クルミ科、クルミ属)
 シナノキ(シナノキ科)
 フッキソウ(ツゲ科)
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 以上、「こども遊びの広場」で懸命に体を動かし、遊歩道を元気良く駆け下りる子ども達を見ながら、整備された里山の植物を堪能した楽しい春の一日を過ごして、帰途に着きました。元気な子供達と豊かな植物、どれも欠かすことのできない里山の光景です。
(東前)

※写真はすべて工藤了
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by woodies | 2016-05-10 23:42 | 活動記録  

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